ある日の一班より・・・




■みやさんバージョン■


「あっ!見ろ見ろ!可愛いぃーー!!」
「ハァーイ♪可愛いお嬢さん達。どこいくのぉー♪」
「アラン!フランソワ!勤務中に何をやっておるか!!三部会に向けての大事なパリ視察中に不謹慎にも程があるぞ!」
「あっ!た…隊長!」
「他の皆も弛んでいるぞ!なんだその鼻の下は!伸び放題ではないかっ!」
「だって隊長。分厚いコートを脱いで薄着になった綺麗なおねーさんが街を闊歩する季節になったんですぜ!見てくださいよ、あの剥き出しの腕や肩!あれに目が行かない様じゃオトコじゃないですぜ」
「…ふん!誰もが皆お前達と同じだとは限るまいが」
「えーー!オトコなら皆そうだよねえ、アンドレ」

『フランソワ!俺に振るな俺にッ!』

「ほぉー。そうなのか?アンドレ」
「まさか!俺は違うよオスカル!!俺は別にどうでも。興味なんて無いよ」
「アンドレ、もてるもんねぇ。ほっといても向こうから迫ってもらえるから、余裕だよね」
「そうそう!そうだアンドレ、今夜勤務が明けたら飲みに行こうぜ。いつものミレーユの店!今度は何時アンドレが来るんだって、こないだぎゃーぎゃ−言われたしよぅ。お前が行かないとサービスが悪くて」
「ほう、アンドレが行くとサービスが良いのか」
「そりゃもう!雲泥の差です。なぁ」
「アンドレ、そういうことだそうだから、付き合ってやったらどうだ?私なら一人で帰るから構わなくて良いぞ」
「…俺は別に飲みに行きたくなどないぞ」
「私に気遣いなど無用だ。ゆぅぅぅーーーぅっくり楽しんで来い!なんなら帰ってこなくて良いからなっ!」
「オスカル!」
「今日はここで解散!各自明朝の勤務開始時間まで必ず帰隊せよ、以上!」
「ひゅー!やったぁー♪行こうぜアンドレ!」
「バカやろう!俺は行かないからなっ!!オスカル待てよ!待てったら!!」



「あーぁ、行っちゃった。ねぇアラン、あの二人これからどうすると思う?」
「ふん!俺さまの知ったこっちゃねぇよ!さあ、飲みにいこうぜみんな!」
「そうそう、夫婦喧嘩は犬も食わないってね!明日アンドレが青あざ作ってくるかどうか、賭けようぜ!」
「よっしゃー!ミレーユの店で飲みながらやろうぜ!」

『アラン、フランソワ!覚えてろよっ!!いつかコロスっ!!!』


       


■さわらびさんバージョン■


「オスカル、待てよ。」
「わざわざ追っかけてこなくてもいいぞ。」
「馬車の中まで、この雰囲気を持ち込みたくない。」
「フン…。ならば一緒に乗らなければいい。」
「お屋敷まで歩いて帰れ、と?」
「朝帰りも楽しいのではないか?」
「どうせ朝帰りならおまえと行きたい。」
「ん…?わたしと飲みに行くのか?」
「安酒場に連れてはいけないから、俺の部屋でどうだ?おまえの部屋と違って雰囲気がかわるだろう?」
「それはそうだが…。きれいなおねーさんはいないぞ。」
「誰よりきれいな女性がここにいる。こんな贅沢はないだろう?」
「ア、アンドレ!」
「決まりだな。さ、馬車に乗ろう。屋敷に着くまでに今夜の銘柄を考えよう。」
「…。なんだかうまく丸め込まれた気がするが…。まあいい。思いっきり高級品でいくか。」


       


■郁バージョン■


自分の部屋を片付けながらアンドレは自分と葛藤していた。

あからさままに誘ったみたいだっただろうか?しかも朝までだなんて言わなければよかったか。
しかし、オスカルが、『ミレーユの店』のことを忘れているので、この際自分の後ろめたい気持ちは無視しよう。かりにオスカルが自分よりも先に酔いつぶれたとしても(まずありえな〜い)自制するんだ。アンドレ!彼が言葉なき気合を入れたときにノックの音がした。

「アンドレ入るぞ」
高級なワインを持ってオスカルが現れた。すでに一杯ひっかけているのか顔が赤い。

「なんだ、もう飲んでいるのか?」
「ふん、気合だ気合!こんな時間に女が男の部屋に行くのには勇気がいるからな」
「そんな事いままで一度も言ったことがなかったじゃないか?ずっと、そう思っていたのか?」
「・・・・・」
「俺の部屋は『男の部屋』だと?」
「さっき、わたしに向かってきれいなおねーさん、って言ったじゃないか。わたしが女ならお前は男。当たり前の事じゃないか」

そう言いながらオスカルはワインの栓を抜こうと苦戦していた。
「貸して、俺が空けるから」
「いいって、これは自分がやりだした事だから自分でできる。だいたいだな、お前がいつもわたしをそうやって甘やかすからいけないのだ」
「はぁ?」
「わたしは弱い人間だ。その原因はお前にもある。人間は甘やかされるとわがままになる。ミレーユの店の事だって、別にたいした事じゃない。お前がもてるのは当たり前だ。わたしはその現実を受け入れなきゃならん」

栓はだんだんと上に押し上げられていった。けれども話すのに夢中で彼女は力加減をしなかった。

「彼女達が勝手に騒いでいるだけだ。俺は、店で飲みながらいつもお前の事を考えていた」
「えっ!」
彼女の心臓は、コトリと音をたてた。その拍子に栓がポーンと飛んだ。
「オスカール!」
「あ、あ、すまなかった」
「こういうトコ、お前って手間がかかるのな」
「ふん」
「でも、そういうトコ好きだけど」

そういうと彼はニヤリと笑った。
「普段、ピシっとしてるだけに、時々やらかすドジな部分もある。俺はそれを受け入れなくちゃならん」
「なんだよ!さりげなく切り返された気分だな」
「お嬢様は、さりげなくがお気に入りみたいだから」

そう言うと、彼は自然にオスカルを抱き寄せた。

「もうひとつ、受け入れて欲しいものがあるのだけど」
「お前のキスっていうのならお断りだ」
「つれないな」
「かわりに、わたしからキスをやろう。ありがたく受け取れ。しかしな、今度ミレーユの店に黙って行ったら、二度とやらんぞ」
「はいはい、約束します」


       


ワインさんから一言。

『皆が喜ぶ高級ワイン。無視されたのは始めてよっ!ふん!」

ちゃんちゃん。


『あとがき』
おちゃらけになってしまいました。でも楽しかったです。みやさん、素晴らしいネタをありがとう!
さわらびさん、素晴らしいノリでありがとう!















                                                                                                             

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