「ある日の衛兵隊 ホワイトデー編」

                                        みやさん作

「オスカル、シャンパンを持ってきた」
「ああ、ありがとう。 これは?}
「ホワイトデーのプレゼント。ダロワイヨのマカロンだよ。おまえの好物だ」
「ありがとう!これ、辛口のシャンパンによく合うんだ」
「まったく、酒がからむと目の色が変わるな、おまえ」
「失礼な!それより、私のヴァレンタインプレゼントは気に入ったか?」
「ああ、でも服の仕立券なんてよく思いついたな」
「ふふん。主人公が『ハリスツイードを着たハリソン・フォード』だったからな。
あれはきっとおまえにも似合うと思ってたんだ」
「それはそれは、光栄でございますお嬢さま。それはいいけど、プレゼントに辿りつくまでがほんっっとに!大変だった」
「あはは!」

「笑いごとか!最初の紙の『それはすべてが始まり、すべてが終わるところ。幾多の剣が天を突きわれを守る者はわれを知らず』これ、兵舎の正門の事だってのは分かったんだけど、まさか門衛の制帽に第二のヒントが隠してあるなんてなぁ。かぶってた本人も気づいてなかったぞ」
「苦労して仕込んだからな」
「で、第二のヒントが『扉を開け。それは西に20、北に18、東に43.雷神の怒りを免れるものだけがわれを手にする』だったよな。兵営を書かれた通りに歩いて扉を開けたら夜勤明けの第3班が大いびき掻いて寝てた。そこに大勢で雪崩れ込んだからめちゃくちゃ怒鳴られたんだぞ!衛兵隊の連中には食事と睡眠がなによりの楽しみなんだ。それを邪魔されたわけだからな」

オスカルはくすくす笑いながらシャンパンを飲み、マカロンを齧っている。
「それから厨房のかまどの中、射撃練習場の的の中と走り回らされてその間中フランソワやジャンのヤツにつきまとわられるし。なんとか捲いて最後のヒントが『愛は日常の中にこそある』だった」
「そう、で、おまえは隊長執務室の上でそれを見つけたわけだ」
「未決済の書類の山の中にね!」
「幸福に酔いしれるためには義務を果たさねばならない。実に恣意に富んだプレゼントだったろう?」
「はいはい、そういうことにいたしておきますです。ところでオスカル」
「なんだ?」
「俺の本日の業務はすべて終了した」
「うん、それで?」
「だから!果たすべき義務を果たせば後は…」
「幸福に酔うのみ、だとか?」
「ご明察」
「…」


        


『あとがき』
またまた、みやさんにいただいてしまいました。
みやさんからの贈り物は、すっかり習慣化してしまい(ありがたや〜)、まるでお中元のようです。みやさん、ありがとうございました。


                    バレンタイン編はこちら

                

















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